今回は、NATとNAPTについて解説します。
NATもNAPTもIPアドレス変換の仕組みですが、通信の仕組みを理解する上では基本的な知識になります。辞書的な意味だけではなく、これを機にきちんと仕組みを理解しましょう。
NATとは?
NATとは、「Network Address Translation」の略で、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを変換する仕組みのことです。
と言われてもピンとこない方もいるかと思うので、根本から説明します。
プライベートIPアドレスとは、同一ネットワーク内でのみ通じるIPアドレス、グローバルIPアドレスとは全インターネット世界で通じるIPアドレスのことです。いわばプライベートIPアドレスはコミュニティ内でだけ通じる「あだ名」、グローバルIPアドレスは公式な戸籍上の「名前」のようなものですね。
グローバルIPアドレスは専門機関に申請を出して割り当ててもらわなければなりませんが、プライベートIPアドレスは、そのネットワーク内で機器ごとに自由に割り当てることができます。
そして、機器と機器が通信する際は、宛先のIPアドレスを指定して通信を行いますが、外部のネットワークと通信を行う際は、プライベートIPアドレスを使用することはできません。
そこで必要になるのがNATです。
外部ネットワークとの境界にこのNATの機能を持つルータを設置し、プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換することで、外部との通信を可能にします。
NAPTとは?
NAPTとは、「Network Address Port Translation」の略で、その名の通り、アドレスに加えてポート番号も変換する仕組みのことです。
NATだと1対1のアドレス変換しかできないのですが、その場合、複数端末が同時に通信するには機器ごとにグローバルIPアドレスを割り当ててもらわなければなりません。
その課題に対して生まれたのが、NAPTです。
NAPTではアドレスに加えてポート番号もユニークなものに変換することで、複数端末が同時に通信することを可能にします。
NATの種類とは?
①静的NAT
一つ目が、静的NATです。「静的」という名の通り、IPアドレス1つを別のIPアドレス1つに変える1対1の変換方法です。設定は単純ですが、変換する数分のグローバルIPアドレスを用意する必要があり、コストパフォーマンスはあまり良くありません。
②動的NAT
二つ目が、動的NATです。「動的」という名の通り、1対多の変換方法で、NATプールというアドレスリストを使用し、その時使っていないアドレスを使ってプライベートアドレスを変換します。動的NATの方が効率的にアドレスを使用できるので、大企業や一般家庭で一般的に使われています。
おわりに
いかがだったでしょうか。NATは企業のネットワークにおいて非常に重要な役割を持つ機能です。
NAPTとの違い、仕組みをしっかり理解しておきましょう。
NAT :アドレス変換(プライベートIPアドレス⇄グローバルIPアドレス)、1対1の変換
NAPT:アドレス・ポート番号変換、1対多の変換
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