閉域網VPNに不可欠なMPLSとは?インターネットとの違いは?仕組み、メリット、SD-WANとの関係性まで、わかりやすく解説!

3分でわかるIT基礎用語
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企業ネットワークで現在多く利用されているIP-VPNや広域イーサネットの元になっている技術が「MPLS」です。

が、通信の形式と言われても、目に見えないしいまいち分かりづらいですよね。

そこで、この記事では、「MPLS」の概要、メリット等について、IT初心者の方にもわかりやすく解説します。

MPLSとは?

MPLSとは、「Multi Protocol Label Switching」の略称で、ラベルと呼ばれるタグを使用してパケット通信を行うことで、高速で転送処理を行う技術のことで、主にIP-VPNで用いられます。

通常、インターネットなどのTCP/IPネットワークでは、各ルータはIPヘッダのIPアドレスを見て、手元の経路表を見て次の転送先を決めて送信しています。

それに対し、MPLSは、ルーティングにIPアドレスを使用しません。かわりに、各パケットにそのネットワーク内でのみ通じるラベルと呼ばれる短いデータを付与し、各ルータはラベルを見て次の宛先を決めて送信します。通常は住所が全て一致する建物を一覧から毎回調べて送付していたのが、建物の愛称を決めてすぐにわかるようにする、といったようなイメージです。

MPLSのメリットは?

①転送処理を高速化できる

一つ目は、転送処理を高速化できることです。先ほど書いた通り、MPLSはIPアドレスではなくラベルを見て経路を決定するため、経路決定までの時間を短縮できます。ちなみに、IPヘッダは20bytesなのに対し、MPLSのヘッダは4bytes、また、利用するIPアドレスも32bitに対して20bitと、数字で見てもMPLSの方が情報量が少ないことがわかります。

②トラフィックのコントロール

二つ目が、トラフィックのコントロールです。通常のネットワークは、宛先IPアドレスを元に最短経路を選択するため、特定の経路にトラフィックが集中しやすくなってしまうという課題がありました。それに対して、MPLSでは、特定の経路が渋滞している場合に、それを回避するために経由するルータを指定して(明示的ルーティング)迂回することができます。この機能のことを、トラフィックエンジニアリングと言います。

SD-WANとの関係性は?

MPLSとよく比較されるのが、SD-WANです。SD-WANとは、「Software Defined WAN」の略称で、

ソフトウェア的にネットワークを一元管理する技術のことです。従来の企業のWANはMPLSを用いたIP-VPNで構築されるのが一般的でしたが、MPLSはパフォーマンスが高い代わりにコストも高く、企業の負担となっていました。さらに昨今働き方改革が進み、小規模拠点の増加やリモートワークの普及により、高コストのMPLS回線までは必要ない場所も増えてきました。そこで、SD-WANであれば、ブロードバンド、4G / LTE、そしてMPLSをニーズに合わせてそれぞれ選択し、拡張、縮退もソフトウェア上で柔軟に管理できるため、コストを最適化できます。

つまり、SD-WANを導入したからといってMPLSを使用しなくなるというわけではなく、MPLSに縛られずニーズに合わせて通信方式を選択できるようになる、というイメージです。

ちなみに、SD-WANについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、良ければ合わせて読んでみてください。

おわりに

いかがだったでしょうか。MPLSは今や企業ネットワークに欠かせない技術となっています。

今後SD-WANの普及が進んでいくことが予想されますが、SD-WANを検討する際にもこのMPLSの仕組みを理解しておくことはとても重要なので、覚えておくといいでしょう。

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