QoSとは「Quolity of Service」の略称ですが、具体的にどんな技術がご存知ですか?
QoSは、現代の快適なネットワーク環境の実現には不可欠な基本的な技術です。この記事では、IT初心者の方にもわかりやすくQoSについて解説していきます。
QoSとは?
QoSとは、「Quality of Service」の略称で、直訳すると「サービスの質」になりますが、ITの文脈では、「通信サービスの質を保つために、データを通す順番や量を調整する技術」のことを指します。
具体的にその順番や量を調整するために利用されるのが、受け取ったデータを一時的に保存する「キュー」と呼ばれる領域です。一度キューにデータを保存することで、そこで量や優先順位を調節してデータを送り出すことが可能になります。
荷物を届ける時に、直接皆それぞれ行き先に向かうのではなく、一度倉庫で優先度順に振り分けられて送り出されるようなイメージですね。
QoSの種類は?
優先制御
一つ目が、「優先制御」です。それぞれのパケットに優先度を決めて、優先度順に送り出します。
この優先制御でよく使われるのが、「Differentiated Services(DiffServ)」というモデルです。
このモデルの処理の流れとしては、まずそのデータに含まれている情報を元にデータを分類し(クラス分け)、クラス分けしたデータに優先順位を付けます(マーキング)。そして、その優先順位に基づいてデータをキューに保存し(キューイング)、どのデータを先に送信するか決定して(スケジューリング)送り出すという流れです。
ちなみに、最初のクラス分けの際に使われる要素としては、主に「IPアドレス」や「TCP/UDPポート番号」などがあり、どれを使うかは設定時に決めることができます。
帯域制御
二つ目が、「帯域制御」です。あるアプリケーションにおいて使用する帯域をコントロールします。
帯域制御は、「帯域保証」と「帯域制限」の二つに分かれており、帯域保証はアプリケーションが利用する帯域の下限値、帯域制限は上限値を設定します。
この帯域制御でよく使われるのが、「Integrated Services(IntServ)」というモデルです。
また、ネットワーク上の通信路の品質保証を行うプロトコルは「RSVPプロトコル」といいます。
なぜQoSが必要?
ここまででQoSの仕組みはわかってもらえたかと思いますが、ではなぜQoSが必要なのでしょうか?
近年ネットワークはどんどん高速化・高度化しているのに、そんな毎回優先順位づけして分けて送らないといけないの?と思われるかもしれませんが、昨今のインターネット社会では、QoSは必須の技術になります。
インターネット上には、Web閲覧や動画サービス、IP電話やデータのダウンロードなど、日々様々な通信が大量に流れており、パケットが集中すると遅延につながります。Web閲覧やデータのダウンロードは遅延してもさして問題ないかもしれませんが、リアルタイム性が求められるIP電話やWeb会議の遅延は大きな影響を及ぼします。働き方改革が進み「通信サービスの質」が仕事の生産性に直結するような時代になっているからこそ、QoSで優先順位をつけてサービスの質を保つ必要があるのです。
おわりに
いかがだったでしょうか。普段いち利用者としてインターネットを利用しているとなかなか知る機会もありませんが、QoSは快適なインターネット環境を裏で支えている技術なのです。
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