メタバースとは、VRやAR等の技術を用いた仮想空間のことです。
昨今Facebook社中心に企業が次々とメタバース事業への参画を発表されており、注目されています。
この記事では、メタバースの定義から、昨今のFacebookの報道発表の内容、そして仮想空間の未来まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
そもそも…メタバースとは?
メタバース(metaverse)とは、Meta(=超)とUniverse(=宇宙)を組み合わせた造語で、直訳すると「超宇宙」です。元々はアメリカのSF作家ニール・スティーブンソン氏が1992年に発表した小説「スノウ・クラッシュ」に書いた仮想空間の名称から来ています。現在では、VRやAR等の技術を用いた仮想空間のことを指すことが多いです。
そう言われてもいまいちピンとこないかもしれませんが、私たちの身近なところでいうと、コロナ禍で一斉を風靡したNitendoのゲームソフト「あつまれどうぶつの森」もこのメタバースの一種です。略して「どう森」の世界では、プレイヤーたちは自分のアバターを作成して、釣りをしたり、住人と会話したり、街を開発したりといった仮想空間上での日常を体験します。
Facebookが「Meta(メタ)」に社名変更?メタバース事業に注力?
このメタバースが一躍脚光を浴びたのが、昨今のFacebookの報道発表です。
Facebook社のマーク・ザッカーバーグCEOは、2021年7月には、今後「メタバース」の時代が到来することを唱え、この先5年で同社が「SNSを中核とする企業からメタバース企業へ移行する」と発表しました。そして9月には今後2年でメタバース事業に5,000万ドル(約55億円)を投資することを発表、10月には社名を「Meta(メタ)」に変更するなど、怒涛の発表が話題になっています。
※社名はMetaに変更になりますが、SNSサービスFacebookの名称はFacebookのままです。
この発表は、表向きは次世代コミュニケーションの形としてメタバースに大きく舵を切ったと読めますが、その裏には、SNSサービスFacebookのブランドイメージ、利用率の低下があります。
元従業員がメディアや政府機関に大量の文書をリークするなどの情報流出訴訟や内部告発等度重なる問題に対しても改善の兆しが見られずブランドイメージは低下する一方でした。また、実際Facebookはもはや若者の間ではほぼ使われておらず、「おじさんのSNS」「誕生日の通知代わりでしか使っていない」と揶揄されており、今後衰退していくことは必至という状態でした。
Facebook(Meta)社が考えるメタバースの世界とは?
そんなFacebookが起死回生の一手と考える主なメタバースサービスが、「Horizon Workrooms」「Horizon Home」です。
この「Horizon Workrooms」は、Workroomsとあるように、仮想空間上の会議室で、利用者たちはアバターでこの仮想空間上の会議室に集まり、同じ資料を同じ部屋で見ながら身振り手振りをアバターで表現しながらよりリアルに近い形で会議をすることができるというものです。
「Horizon Home」は、Homeとあるように、仮想空間上の家として、友達を招いて一緒に映画を見たりゲームをしたりすることができるというものです。
これら以外にも、今後より投資していき様々なメタバースサービスを開発・提供していく構想です。
なお、これらのメタバースサービスは、基本VRヘッドセットを装着することが必要です。
メタバースの世界は当たり前になるのか?
今後Meta社をはじめとしてメタバースにますます注目が集まることが予想されますが、ではいつかこのメタバースの世界は当たり前になるのでしょうか?
結論、筆者は「日常では成しえないメリット・それに見合うコスト」がないと、実際にはあまり広まらないだろうと思います。
例えば、Horizon Workroomsの場合、「どこにいても」「よりリアルに近い状態で」会議が出来るということがメリットだと思います。が、前者は昨今のリモートワークの普及によって、Web会議で実現できるようになりました。となると残るメリットは「よりリアルに近い状態で」という点になりますが、これは対面の会議であれば、何のツールもコストもかからず叶えられます。それをわざわざ取引先、自社ともに社員にヘッドセットを配り、操作にも慣れない仮想空間でやるかと言われたら否でしょう。
対して、一斉を風靡した「どう森」は、日常では成しえない、またはやるまでが面倒な体験が仮想空間上で手軽に体験できる(=日常では成しえないメリット・それに見合うコスト)があるという点が違います。
例えば「どう森」上で釣りをしたり、住民と会話したりするのは、現実空間でもできますが、実際に釣りをやるとなったら道具を揃えて車を出して朝早起きして。。住民と会話するのも、関係が悪化したら私生活に影響が出たり。。。と色々面倒なことが起きるわけです。また、街を開発するというのもそう言った職業に就けばできますが、誰でも手軽にできるものでは到底ありません。
どう森では、そう言った日常体験をいつでも手軽にすることができたので、ここまで流行したのです。
よって、メタバースが今後普及していくには、「よりリアルに近づけていく」だけではなく、「バーチャルだから成し得る何か」がコストに見合う形で出てこないと、一般世界への普及は厳しいのではないかと思います。
おわりに
いかがだったでしょうか。Meta社中心に、今後メタバース事業はさらに拡大していくことが予想されます。「古き良き」主義にはなりたくありませんが、新しいものをなんでも試してみて、その上でただ飛びつくだけではなく、どんなメリットがあればもっと普及していくだろう、という未来を予測していく思考はとても大事ですので、ぜひこの機会に仮想空間の未来についても考えてみてください。
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