CSMA/CDとは、有線LAN(イーサネット)で用いられるアクセス制御方式のことです。
このCSMA/CDの仕組み、そしてよく似た単語のCSMA/CAとの違いは、ITパスポート等の資格試験でも頻出の範囲です。
そこで、この記事では、CSMA/CDの仕組み、CSMA/CAとの違いについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。
CSMA/CDとは?
CSMA/CDとは、「Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection」の略称で、直訳すると「搬送波感知多重アクセス/衝突検出」となります。それだけではなんじゃそりゃという感じですが、主にイーサネットで採用されているアクセス制御方式のことです。
CSMA/CDの仕組みは、簡単に言うと、「通信ルートを監視し、空いていたらデータを送信、他と被ったら少し間を置いて再送する」仕組みです。詳しい仕組みは後ほど説明することにして、ここではそもそもの話をします。初期のイーサネット通信は、半二重通信が基本でした。そのため、それぞれの機器が好き勝手にデータを送ると、衝突が発生し、データが破損してしまいます。そこで、どのような順番、秩序でデータを送信するのかルールが必要になります。そこで生まれたのがCSMA/CDです。
なお、現在のイーサネット通信はスイッチの普及等により全二重通信が一般的になり、受信と送信が別のチャンネルでできるようになったため、このCSMA/CDの方式はあまり使われなくなりました。
CSMA/CDの仕組みとは?
CSMA/CDの方式でデータを送信する場合は、以下のような流れを踏む必要があります。ちなみに、括弧書きの各工程の英訳がCSMA/CDの名称の元になっています。
①ケーブル上に電気信号が流れていないか確認する(Carrier Sense)
まず、データを送信する前に、ケーブル上に他の通信が流れていないかを確認します。ここで他の通信が流れていた場合は一旦送信を取り止めます。
②フレームを送信する(Multiple Access)
①で他に通信が流れていないことが確認できたら、フレームを送信します。
③衝突を検知した場合は、一定時間経ってから再送する(Collision Detection)
基本①で送信前に確認するので衝突は起きづらいのですが、それでもほぼ同時に他の通信が開始され、衝突が発生してしまうこともあります。その場合は、ランダムで数秒間を空けて再送します。ランダムにすることで、他の機器と全く同じ時間になることは限りなく低くなり、また衝突することは基本ないという仕組みです。
CSMA/CAとの違いは?
よく似た単語としてCSMA/CAがありますが、CSMA/CDと何が違うのでしょうか?
CSMA/CAは、「Carrier Sense Multiple Access with Collision Acoidance」の略称で、直訳すると「搬送波感知多重 アクセス/衝突回避」になります。
CSMA/CDとの違いは、簡単に言うと、①無線LANの方式②衝突を検知しなくてもランダムに再送するという点です。
まず一つ目、CSMA/CDは有線LAN(イーサネット)の方式なのに対して、CSMA/CAは無線LANの方式になります。
そして二つ目、CSMA/CDは衝突を検知してから再送しますが、無線LANでは、有線と比べて不安定な通信で、衝突を検知することができません。そのため、CSMA/CAでは、データを受信した機器は、「問題なく受信したよ!(ACK)」という完了通知を出す決まりになっています。そして、そのACKが届かない場合、送信側は衝突が発生したとみなして、ランダムに間を空けて再送を行うという仕組みです。
おわりに
いかがだったでしょうか。上で書いたように、現在のイーサネット通信は全二重通信が主なので、このCSMA/CDは使われていないことが多いです。しかし、このCSMA/CDの仕組み、そしてCSMA/CAとの違いは未だにITパスポート等の資格試験でもよく出てくるので、しっかり押さえておきましょう。
コメント